先日の芝草さんへのレス

通常はコメント欄でお答えするのが筋(?)なのですが、今回はいろいろと興味深い内容であったので、BLOG内で返信することにしました。

まず、6月修正から出てきた、「騎士を目指す青年」に代表されるパワーカード群ですが、これらについては、6月修正で「生き残った」パワーカード(「光の精霊」および「魔楽器師」に代表されるソウルスキルなどなど)のなかでバランスはわりと取れているのかな、というのが、現在、対ゴウエンをいろいろ考えている中での、個人的な感想であります。
それを踏まえたうえで、先日に言及したかったのは、槍玉にあがっていた「騎士を〜」なり「ジュッズヴァー」なりが、単純にコストパフォーマンスが崩れているため、パラメータの面でまったく対抗できないパラメータのユニット
(平均的なLV3・AGI3・RNG1ユニットのパラメータといってよい、HP50・AT30のユニットがそれに該当する)
がファイルに入れにくい状況を生み出していること(「騎士を目指す青年」。「緑石のカーバンクル」もそれに近い)
もしくは、あるファイルのコンセプト(兵団SSに代表される、大型SPファイル)を、ローリスクで破壊できるカード(「ジュッズヴァー」)であることが、問題なのではないか、ということですね。
奇しくも、コメントの最後に修正前のプロボッジッションの危険性に言及していますが
(個人的に、プロボジッションに関しての説明については、まったく同感だったりします。
先日の書き方では誤解を与えているのかもしれませんが、修正前の「プロボジッション」を引き合いに出したのは、あくまで「対応できるなら修正の必要がない」という論理のおかしさを指摘したかったために書いただけにすぎません)
それと同じような認識を、自分は6月修正から登場した一部のパワーカードについて、抱いているわけです。

しかしながら、カードバランスについては、自分や芝草さんといったプレイヤーの立場から言及していくには、限界があるのではないかな、とも考えています。
つまり、自分なり芝草さんがBLOGに書いているような、修正案がそのまま採用されたとして、その修正案に合わないプレイヤーを締め出す結果になるのではないか、とのこと。
(6月修正の「失敗」は、そういった、プレイヤーの意見を、製作者側で調整もせず、乱暴にいえば、鵜呑みにしたようなところに、大きな一因があるのではないか、と睨んでいます)

ユーザーの意見とカードバランスについては、別TCGの話題ですが、参考としておもしろい記事があります。
http://d.hatena.ne.jp/Nakaji_c/20050714

「ユーザが個人的に禁止カード・制限カードエラッタを捻り出して、ブロッコリーに採用しろと迫ったとしても無視されるだろう。単純にバランスが取れていないかもしれない。個人の嗜好が強く反映され、その個人が自分の持っていないカード・自分の好きな勢力に対して不利なカードばかりを制約しようと考えているかもしれない。そんなものを受け入れた日には、他のユーザが離れてしまう。だが、何度も遊ばれて、多くのユーザから支持を得ていれば、話は別だと言う事だ。そんな状況で個人の嗜好が強く反映されてるはずもない。」『「結成式中の池田店長語録」から』

カードバランスに関する修正案については、ある個人(小人数)の意見をそのまま反映するのでなく、相当数の意見を集約したデーターとして生かされなければ、結局、「あちらが立ってもこちらが立たず」といったような修正になってしまうのではないか、と思うのですね。エスカティアや盾騎士など、2chからの意見を反映させてみた6月の修正から察するに、現状のアルテイルの弱点の一つは、メールなどから寄せられるユーザーの意見を、(おそらく時間的な都合から)データベースとして纏めあげられていないところにあるのではないか、と。

ちなみに上記のパワーカードに関する部分についても、非常に参考になる意見があります。かなり長いですが、そのまま引用。

TCGってのは、メタゲームと言う作用があって、付け入る隙の無い1ターンKILLコンボでもない限り、バランスが取れているように見える。数枚の壊れカードがあったとしても、それを中心にメタゲームが発生し、多少はバリエーションがあるように見える。

つまり、自分みたいなトーナメントレベルで遊ぶプレーヤーからすれば、何か1種類にデッキタイプが固定されず、デッキがタイプが数種類あってその中でメタゲームが回るのであれば、十分バランスが取れているように考えて来た。そういう観点からすれば、「今のアクエリの禁止カードが必要か?」と言う問いに関する答えは「NO」だ。

ところが、1歩引いて、トーナメントレベルを必死には追わないプレーヤー層のことを考えてみよう。このプレーヤー層ってのは、ネットや雑誌で紹介された強いデッキをコピーして勝つのではなく、「デッキは自分でデザインして作る事ができる」と言うTCGの楽しみを最大限に味わう為に、自分が作ったデッキで勝つ事を楽しみにしている層だとも言い換えて良い。彼らにとって、数枚の壊れカードに支配される環境ってのは、何かオリジナルなデッキを組もうとしても、壊れカードのせいでそのデッキタイプ自体が意味がなかったり、効率の面で最適解を求めると数種類のトーナメントデッキに行き付く=トーナメントデッキの性能が余りにも高過ぎたりで、あまり面白い環境とは言えない。

ここで、数枚の壊れカードを環境から除いてやるとどうなるか? トーナメントレベルでは、壊れカードの次に来ているカードパワーが高いカードを中心にメタゲームが回り、新エキスパンションが出たのと大差ない影響となる。つまり、その時点でカードパワーの高いカードを禁止しても、次いでカードパワーの高いカードを中心とした環境になるので、意味が無いと言うシニカルな批判が成立する。が、壊れカードの存在で封じられていたデッキタイプが復活する点や、トーナメントデッキの性能が低くなる事でオリジナルのデッキを作った場合の差が小さくなる点から、トーナメントレベルから1歩引けば、色々なデッキを試せる面白い環境になるといえる。」

今後のアルテイルにとって、カードの上方修正・下方修正よりも、むしろ新しいレギュレーションを考えたほうが、より発展的ではないか、とも思う。とくにハイランダーは、リビングデッドユニットが危ないとは思えるものの、その他のほとんどのカードが生かせる形にならないか。
大会機能の実装によって、実現可能に思えるものなので、ぜひがんばって頂きたいところ。

しかし、引用記事全体を眺めて思ったことですが、いわゆるアルテイルなどの、ブラウザでのカードゲームのバランサーは、国内TCGのそれと比べて、水準があまりにかけ離れすぎているのではないか、などと思いました。
(ただ、その点、「Le Flat」は比較的良ゲーらしい。らしい、というのは、2chからの評判および、1−2回やってみての感想からなんですが……問題は過疎すぎるということ。また、個人的に、独特なカードイラストがちょっといまの流行から外れているような気がした)
正直、なんかTCG好きな企画がいたずらに考えたバランスのカードの中で遊んでいるような気がします。
まあ、一部のアクションスキルなどのコスト設定に、若干の数学的思考が見えるところに、色気を感じて、遊んでいるというところですか。

まあそういった問題もありますが、
『現状「特殊なスキルを持ったユニット」というのがほぼ存在しないのもあって、そのユニットの固定化という現象に歯止めが利かなくなっちゃってるんじゃないかなぁ、というのが素直な感想です。
とりあえず意味も無く、ぎぶみーにゅーすきるとでも言ってみます。』

芝草さんも感じているような、一種の閉塞感というのが、いまのアルテイルの一番の課題なのかな、とは自分も思いますね。ただなあ、「がんばっているのに行き当たりばったり」なDEXだからなあ、ハンゲ提携のごとく、
「とりあえずバランス無視して新しい能力つくってみました! AGI5のRNG2で攻撃後移動できたり、LV2で何でもバッティングできるグリモアとかです!! 調整はこれからユーザーのみなさんとやっていきます!(強くしたのでみなさんまずは使ってください!) ご迷惑をおかけして申し訳ございません! これからもアルテイルをよろしくお願い致します!」
みたいなことになりそうなんですよね(汗) 

まあ、途中からとりとめがなくなってきましたが……そういうこともあって、修正案については、おそらく個人間でいろいろとやりとりをしても、万人が納得のいくものは出ないんじゃないかなあ、などと思うところであります。
実践が伴うデータとして……ということを今回は訴えたのですが、やはりユーザーからの修正案を反映したテストプレイの時間を増やし、一元的な修正案を適正なものに調整する作業、もしくは調整する方法を、アルテイルゲームデザインに関わっているところは、今一度、真剣に考える必要があるのではないでしょうかねえ。
ともあれ、自分たちのようなユーザーが修正案をどしどしBLOGに書いたり、メールしたりするのは、それだけでも、アルテイルにとって、重要なことだと思うわけです。
まあそういうわけで、先日の記事で、間違っているなと思ったところなどあっても、大目にみてください……という、長々と書いておいて、じつはただの言い訳でありました(笑)

というわけで、これからもよろしくお願いします。

補足

7/17 14:00 後半、すこし読んでいて意図が伝わりにくいところなどあったので、一部加筆修正しました。